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評価:
平喜多 ゆや
新書館
¥ 600
(2010-05-29)
Amazonおすすめ度:
買って損無し
泣き顔がどのキャラもぐっとくる短編集
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あらすじ:きらきら大きな瞳で、まっすぐに背筋を伸ばして歩く姿が印象的な隣のクラスの加勢くん。見ているだけで幸せだった唯志だけれど、ある日曜日、弟を連れた加勢くんとばったり出会い、自宅のお好み焼き屋に誘うことに成功。おいしそうに食べる様子に思わず「可愛い」と言ってしまい!?心がぽかぽか幸せになるラブ満載の作品集
おびに「草間さかえ先生推薦!!!」なーんてあるから買ってみた。中身は期待した変態っぽさを微塵も感じさせないはーとふるらぶ作品群でした。あらすじ読んでから買えよわたし。でもこれはこれでいい!すきまかぜ吹いて寂しい私の心をあっためてくれたから(きも!)でもほんとあれですね。読後感、きゅんきゅんよりぽかぽかって感じ。あらすじよ的を得ているな!
*以下、ねたばれ的な*表題作の唯志と加勢くんのはなしや同棲カップルのとりとめのない日常話もいいけれど、私がいいなと思ったのは年の差カップルの話でした。年の差カプな話は2話ほどあって、幼馴染高校生×社会人と大学生×高校生と、どちらも毛色の違う話なんだけど、どちらともキャラクターの心情がリアルでいいなーと思う。
大学生×高校生は家庭教師と生徒な間柄なんだけど、「先生今付き合っている人いますか」という台詞がすべてを物語っているような言動の突拍子のなさとか、思い込んで突っ走って暴走とか、そういう生徒の高校生らしさがとてもリアルだよ。自分が高校生だったとき装備していたキャパと経験で年上相手に恋にぐるぐるしたら、私も、そしてもみんなも生徒のようになってしまうと思うのですよ。すんごい悩んで思い切っていった言葉が、相手にとってはとんちんかんで、「なんだんだ!こいつは!!」みたいな。そういうのが、懐かしくて愛しい(ものすごい主観だけど)。生徒の彼の場合極めつけにこれですよ。
「俺また変なこと言ってない?」
でもこの言葉、私ももどこかで遠い昔誰かに向かって言ってた(笑)若いっていいなー。そしてまたこの話の「若いっていいなー」な、もぞもぞ感に花を添えるのが大学生の彼なんです。高校生からしたら大学生ってだいぶ大人に見えるけど、所詮大学生、まだまだ子供です。でも、生徒より大人って自覚はあるし、また「俺は大人だ」と、いわんばかりに妙にすかした感じがこれまた大学生、若いよぉぉぉ〜そんな二人がお互い背伸びしてぐるぐるしてるところを見てると、おばちゃんもえもえしすぎて気持ち悪くなっちゃうよ。
幼馴染ものはねー。本来私、幼馴染に萌えはあんあり感じないんだけどねー。
年の離れた幼馴染がどちらかの引越しによって引き裂かれる→ひょんなことから再開→いろいろナフラグ→(いろいろ省略して)合体!・・・われながら書いててこの図最悪だと思いますが、この話このように王道を地でいってるのにあれなんですよ、年上社会人は包容力100%で高校生な幼馴染を慈愛の目で見ているのに、高校生は全力で年上社会人の包容力に甘えているのに、合体したら年上のほうが受けかよ^^こういう意外性にはものすごく弱いです。私。
その後、年上な彼の元彼出現により家を飛び出す高校生なのですが、年上な彼はその大人の余裕で、年下な彼の帰りを待っているのかと思いきや。帰ってきたらーないてたー!!こういう意外性には本当にものすごく弱いです。私。
意外性って大事だよね。若いっていいよね。
ほかの話は結構強引だなと感じる部分もあるけれど、雰囲気で読めちゃえます。やっぱり草間先生推薦なわけだ。